こんにちは、香港在住の日本人ライター、リンです。香港と聞いてまず思い浮かべるものの一つに「飲茶」を挙げる方は多いのではないでしょうか。私も香港に暮らして以来、すっかり飲茶の魅力に取り憑かれ、週末の朝は家族や友人と「飲茶」に行くのが定番になりました。
飲茶は、点心とお茶を一緒に楽しむ、香港の食文化に欠かせない習慣です。早朝からお昼にかけて、家族や同僚とテーブルを囲み、蒸し立ての点心を味わいながらおしゃべりに興じる時間は、まさに香港の人々の生活そのもの。伝統的なワゴン式の飲茶から、モダンでおしゃれなレストラン、ミシュランの星を獲得した高級店、そして地元の人々に愛されるカジュアルな名店まで、その種類は実に多岐にわたります。
この記事では、香港移住を検討中の方や、旅行で香港を訪れる予定の日本人の方々に向けて、私が自信を持っておすすめする飲茶店を10軒厳選してご紹介します。伝統の味を守り続ける老舗から、新しい風を吹き込む話題の店まで、それぞれの魅力と楽しみ方をお伝えしていきますので、ぜひあなたのお気に入りの一軒を見つけて、本場の飲茶を心ゆくまで堪能してくださいね。
飲茶の基本知識と楽しみ方
香港で飲茶を最大限に楽しむために、まずは基本的な知識とマナーを少しだけご紹介します。これを知っておけば、お店での体験がぐっと豊かになりますよ。
飲茶とは?点心とお茶のハーモニー
「飲茶(ヤムチャ)」は広東語で「お茶を飲む」という意味。これに「点心(ディムサム)」と呼ばれる軽食を添えて楽しみます。点心は蒸し餃子、焼売、饅頭、春巻など多種多様で、甘いものからしょっぱいものまで、様々な種類があります。お茶は、油っこい点心をさっぱりと流し込み、消化を助ける役割も果たします。
オーダー方法を知ろう
飲茶のオーダー方法は主に3つあります。
1. ワゴン式(推車仔): 店員さんが点心を乗せたワゴンを押してテーブルを回ります。気になる点心があれば指差して伝えると、お皿に取ってくれます。昔ながらのスタイルで、目で見て選べるのが楽しい反面、言葉の壁がある場合も。
2. チェックシート式(點心紙): メニューが書かれたシートに自分でチェックを入れて店員さんに渡す方式。多くのお店で採用されています。写真付きのメニューが併設されていることも多く、初心者にも分かりやすいでしょう。
3. メニュー式: 通常のレストランと同じように、メニューから直接オーダーする方式。ミシュラン店など高級店でよく見られます。
お茶の種類と選び方
飲茶でいただくお茶は、烏龍茶やプーアル茶が一般的です。いくつか代表的なお茶をご紹介します。
- **普洱茶(ポーレイチャ)**: プーアル茶。最も一般的で、油を流す効果があると言われ、点心によく合います。
- **香片(ヒョンピンプーレイ)**: ジャスミン茶。香りが高く、さっぱりとしたい時におすすめ。
- **壽眉(サウメイ)**: 白茶の一種。あっさりとした口当たりで、胃に優しいとされています。
- **鐵觀音(ティッゴンヤム)**: 鉄観音茶。香ばしさとコクがあり、幅広い点心に合います。
「點茶(ディムチャ)」と聞かれたら、上記から好きなお茶を選んで伝えましょう。迷ったら「普洱」と言っておけば間違いないでしょう。
ローカルマナーを押さえよう
- **洗碗(サイウン)**: テーブルに着くと、まず店員さんがお湯の入った器を持ってきます。これは食器を洗うため。急須のお湯を使って、器や箸を軽くゆすぎ、流し台に捨てましょう。衛生面が気になる方には安心の習慣です。
- **加水(ガッソイ)**: 急須のお茶がなくなったら、蓋を少しずらしておくか、蓋をひっくり返しておくと、店員さんがお湯を足してくれます。
- **叩桌(ガムチャ)**: 他の人にお茶を注いでもらった時や、店員さんに感謝を伝える際に、指でテーブルを軽くトントンと叩くのがローカルマナーです。これは「ありがとう」を意味する仕草です。
香港の飲茶おすすめ店10選【地元民も通う名店】
それでは、いよいよ本題。香港在住の私が自信を持っておすすめする飲茶店を10軒ご紹介します。伝統的な体験から、モダンな空間、そして気軽に楽しめるお店まで、幅広いジャンルから選びました。
1. 陸羽茶室 (Luk Yu Tea House)
香港最古の茶室の一つである「陸羽茶室」は、創業1933年の超老舗。まるで時間が止まったかのようなレトロな空間で、香港の古き良き飲茶文化を体験できます。店員さんはベテラン揃いで、昔ながらの香港のサービススタイルも魅力。
- **特徴**: ワゴン式ではないですが、手書きのオーダーシートと、店員さんが点心を持って回るスタイルが特徴。点心一つ一つが丁寧に作られており、伝統的な広東点心を味わえます。少し値段は張りますが、歴史と雰囲気を考えれば納得の価値あり。
- **おすすめ点心**: 蝦餃(ハーガウ)、焼賣(シュウマイ)、叉燒飽(チャーシューバオ)など、定番点心をぜひ。
- **予算目安**: 一人HK$250~400
- **アクセス**: 中環(セントラル)駅D2出口から徒歩約5分
- **ポイント**: 観光客も多いですが、常連の地元客も多数。英語メニューはあるものの、店員さんとのコミュニケーションは広東語が中心。相席になることも多いですが、それもまた体験の一部です。予約は受け付けていません。
2. 蓮香樓 (Lin Heung Tea House)
「蓮香樓」は、香港の飲茶の代名詞とも言える、創業1926年の超有名店。活気あふれる喧騒の中で、ワゴン式飲茶を体験したいならここが一番です。
- **特徴**: 店内は常に地元の人々で賑わい、点心を乗せたワゴンがテーブル間を行き交う光景は圧巻。自分の食べたい点心を見つけたら、躊躇なく手を挙げて店員さんを呼び止めましょう。相席は当たり前、活気と少しの混沌を楽しめる方に特におすすめです。
- **おすすめ点心**: 叉燒飽(チャーシューバオ)、糯米雞(ローマイガイ:もち米鶏肉包み)、馬拉糕(マーライコウ:蒸しカステラ)。どれもサイズが大きめなので、少人数で行く場合は注意が必要です。
- **予算目安**: 一人HK$100~200
- **アクセス**: 上環(ションワン)駅A2出口から徒歩約5分
- **ポイント**: 英語はほとんど通じません。筆談や指差しで乗り切りましょう。ローカル感満載なので、香港文化に深く触れたい方に最適です。
3. 添好運 (Tim Ho Wan)
ミシュラン一つ星を、庶民的な価格で楽しめることで世界中に名を馳せた「添好運」。今や香港を代表する点心専門店のひとつです。
- **特徴**: 「世界一安いミシュランレストラン」として知られ、どの点心も丁寧に作られていながら、非常にリーズナブルな価格設定。常に長蛇の列ができていますが、並ぶ価値は十分にあります。
- **おすすめ点心**: 酥皮焗叉燒包(ソウペイゴッチャーシウバウ:チャーシューメロンパン)は必食!外はサクサク、中は甘じょっぱいチャーシュー餡が絶妙です。蝦餃(ハーガウ)や糯米雞(ローマイガイ)も人気。
- **予算目安**: 一人HK$80~150
- **アクセス**: 香港内に複数店舗あり(深水埗、中環、北角など)。一番アクセスしやすいのは中環の店舗ですが、行列覚悟で。
- **ポイント**: 予約は不可。行列を避けるなら、開店直後か、ランチタイムを過ぎた午後2時以降が狙い目です。テイクアウトも可能です。
4. 龍景軒 (Lung King Heen)
フォーシーズンズホテル香港内にある「龍景軒」は、ミシュラン三つ星を獲得した世界で初めての広東料理レストラン。優雅な空間で、洗練された高級飲茶を堪能できます。
- **特徴**: ヴィクトリアハーバーを一望できる絶好のロケーションで、点心はどれも繊細で美しい芸術品。厳選された食材と熟練の技が光ります。サービスも一流で、特別な日の食事にぴったりです。
- **おすすめ点心**: 龍景軒蝦餃(ハーガウ)、鮑魚雞粒酥(アワビと鶏肉のパイ)、香芒楊枝甘露(マンゴーサゴ)。
- **予算目安**: 一人HK$400~800
- **アクセス**: 香港駅A2出口直結(IFCモール内)
- **ポイント**: ドレスコードはスマートカジュアル。非常に人気が高いため、少なくとも1ヶ月前、できれば数ヶ月前の予約が必須です。オンライン予約も可能。
5. 唐閣 (T’ang Court)
ランガム香港ホテル内にある「唐閣」も、ミシュラン三つ星を誇る広東料理の巨匠。伝統的な広東料理の真髄を、エレガントな雰囲気の中で味わえます。
- **特徴**: クラシックで落ち着いた雰囲気の店内で、質の高い飲茶を楽しめます。点心は一つ一つ丁寧に作られており、素材の味を最大限に引き出した上品な味わいが特徴。
- **おすすめ点心**: 焗釀鮮蟹蓋(カニ肉と玉子の甲羅焼き)、蜜餞叉燒皇(特製ハニーローストポーク)。点心以外にも、絶品の広東料理が揃っています。
- **予算目安**: 一人HK$400~700
- **アクセス**: 尖沙咀(チムサーチョイ)駅C1出口から徒歩約5分
- **ポイント**: 龍景軒と同様に、早めの予約が必須です。ビジネスランチや家族との会食にも最適です。
6. 大會堂美心皇宮 (Maxim’s Palace City Hall)
中環の香港大会堂(シティホール)内にある「美心皇宮」は、広々とした空間でワゴン式飲茶を楽しめる、観光客にも地元民にも愛される大型店です。
- **特徴**: 港の景色を眺めながら、昔ながらのワゴン式飲茶を楽しめます。店内は常に活気があり、次々と点心を持ってくるワゴンから好きなものを選んで楽しみます。香港らしい賑やかさを体験したい方におすすめ。
- **おすすめ点心**: 蝦餃(ハーガウ)、焼賣(シュウマイ)、糯米雞(ローマイガイ)。定番点心はどれも安定の美味しさです。
- **予算目安**: 一人HK$150~250
- **アクセス**: 中環(セントラル)駅J3出口から徒歩約5分
- **ポイント**: ワゴン式の点心は、人気のものからすぐになくなってしまうため、見かけたら積極的に確保しましょう。週末のランチタイムは特に混み合います。予約なしでも入れることが多いですが、待ち時間は覚悟してください。
7. 一點心 (One Dim Sum)
「一點心」は、かつてミシュランの星を獲得していたこともある、地元に根ざしたカジュアルな飲茶店。リーズナブルな価格で美味しい点心を楽しめます。
- **特徴**: 「添好運」と並び、コスパの良さで知られる人気店。地元の人々で常に賑わっており、行列ができることも珍しくありません。点心はどれも高品質で、手抜きのない美味しさが魅力です。
- **おすすめ点心**: 蝦餃(ハーガウ)、鮮蝦腸粉(エビの腸粉)、鳳爪(フォンジャウ:鶏の足)。
- **予算目安**: 一人HK$80~150
- **アクセス**: 太子(プリンスエドワード)駅A出口から徒歩約5分
- **ポイント**: 店内はそれほど広くなく、相席になることも多いです。地元の雰囲気を味わいたい方には最高の選択肢です。
8. 都點 (Duddell’s)
中環に位置する「都點」は、アートギャラリーを併設したモダンでスタイリッシュな広東料理レストラン。洗練された空間で、クリエイティブな飲茶を楽しめます。
- **特徴**: 伝統的な点心に現代的なエッセンスを加えた、目にも美しい点心が魅力。内装も非常にこだわりがあり、食事をしながらアート作品を鑑賞できます。バーも併設されており、カクテルと共に点心を楽しむことも。
- **おすすめ点心**: 黒トリュフ蝦餃(ハーガウ)、鮑魚糯米雞(アワビともち米の蒸し鶏)。
- **予算目安**: 一人HK$300~500
- **アクセス**: 中環(セントラル)駅D1出口から徒歩約7分
- **ポイント**: おしゃれな雰囲気なので、デートや女子旅にもおすすめ。テラス席もあります。ランチタイムは予約が比較的取りやすいですが、念のため予約をしておくと安心です。
9. DIM SUM LIBRARY
「DIM SUM LIBRARY」は、洗練されたインテリアとユニークな点心で若者を中心に人気を集めるモダンチャイニーズレストラン。伝統と革新が融合した新しい飲茶体験を提供しています。
- **特徴**: ダークトーンでまとめられたスタイリッシュな空間で、香港のクラシックな点心にひねりを加えたクリエイティブな点心を味わえます。カクテルとのペアリングもおすすめ。
- **おすすめ点心**: Black Truffle Har Gau(黒トリュフ蝦餃)、Dan Dan Xiao Long Bao(担々小籠包)。見た目も華やかで、SNS映えも抜群です。
- **予算目安**: 一人HK$250~450
- **アクセス**: 中環(セントラル)駅D1出口から徒歩約5分、または尖沙咀(チムサーチョイ)にも店舗あり。
- **ポイント**: 従来の飲茶のイメージとは一線を画す、モダンな雰囲気を楽しみたい方におすすめ。友人とのカジュアルな食事にもぴったりです。
10. 點點心 (Dim Dim Sum)
「點點心」は、香港島と九龍に複数店舗を展開する、カジュアルで活気のある飲茶チェーン。地元の普段使いのお店として人気です。
- **特徴**: 比較的リーズナブルな価格で、種類豊富な点心を味わえます。伝統的な点心はもちろんのこと、豚の顔の形をした饅頭など、見た目も楽しい創意点心も魅力。フレンドリーな雰囲気で、気軽に飲茶を楽しめます。
- **おすすめ点心**: 豬仔流沙包(豚の顔のカスタード饅頭)、香脆鮮蝦腸粉(パリパリエビ入り腸粉)。定番の蝦餃(ハーガウ)や焼賣(シュウマイ)も安定の美味しさです。
- **予算目安**: 一人HK$100~200
- **アクセス**: 油麻地(ヤウマテイ)、灣仔(ワンチャイ)、佐敦(ジョーダン)など複数店舗あり。
- **ポイント**: 夜遅くまで営業している店舗もあるので、ランチだけでなくディナータイムに飲茶を楽しむことも可能です。メニューには写真が豊富なので、言葉の心配も少ないでしょう。
飲茶を楽しむ上での注意点とヒント
香港での飲茶体験をより良いものにするために、いくつかアドバイスがあります。
- **人気店は行列覚悟、または予約を**: 特に週末やランチタイムの人気店は、1時間以上の行列ができることも少なくありません。時間を有効に使いたい方は、開店直後を狙うか、予約が可能な店は事前に予約を済ませておきましょう。
- **言葉の壁は気にしない**: 広東語が分からなくても、指差しや「This one, please.」で十分に伝わります。多くの店では写真付きのメニューや英語メニューも用意されています。
- **一人旅でも楽しめる!**: 飲茶は大人数でシェアするのが一般的ですが、一人でももちろん楽しめます。少量ずつオーダーできるお店を選んだり、いくつかの点心をテイクアウトしてホテルでゆっくり味わうのも良いでしょう。
- **お茶代(茶芥)は必須**: 飲茶のお店では、点心代とは別に「茶芥(チャーガイ)」と呼ばれるお茶代とサービス料が加算されます。これは香港の飲食店の一般的な習慣なので、驚かないでくださいね。だいたい一人HK$10〜30程度です。
- **現金を用意しておくと安心**: 小規模なローカル店では、クレジットカードが使えず現金のみという場合もあります。少額の現金(HK$100札やHK$50札など)を用意しておくとスムーズです。
- **服装はカジュアルでOK**: 高級店を除き、飲茶は普段着で気軽に楽しめます。ただし、冷房が強く効いている店もあるので、羽織るものがあると安心です。
香港での滞在を快適にするなら、ホテル選びも非常に重要です。飲茶巡りの拠点となる便利な立地で、予算に合ったホテルを見つけましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?香港在住の私が厳選した、おすすめの飲茶店10選をご紹介しました。伝統的なワゴン式飲茶で活気と人情に触れるのも良し、ミシュラン星付きの高級店で洗練された味とサービスを堪能するのも良し、モダンな空間で新しい飲茶体験をするのも良し。香港には、あなたの好みにぴったりの飲茶店がきっと見つかるはずです。
飲茶は単なる食事ではなく、香港の人々の日常と文化が凝縮された体験です。このガイドが、あなたが香港で素晴らしい飲茶の思い出を作る一助となれば嬉しいです。
ぜひ、この機会に香港を訪れ、奥深い飲茶の世界に足を踏み入れてみてください。そして、美味しい点心と香り高いお茶で、心ゆくまで香港の味覚を楽しんでくださいね!
あなたの香港での旅が、素晴らしい思い出でいっぱいになりますように。